海外バイヤーの夢を叶えるために選んだキャリア
小さい頃から洋服が好きで、ずっとファッション業界で働きたいと思っていました。短大卒業後は県外のアパレル商社に事務職として入社。そこで海外のファッションショーなどに出向いて買い付けをする先輩を見て、いつか自分も海外でのバイイングをしたいと思うようになりました。
23歳のとき、イタリアへ語学留学をするために当時の会社を退職しました。半年ほどの語学留学を経て、地元・香川でファッションの仕事を探しているときにFoyer Groupと出会ったんです。
Foyer Groupでは、本社メンバーではなくお店ごとに商品の買い付けを行っているので、店長がバイヤーとして国内外の展示会にも行きます。ここでなら自分の夢を叶えられそうだとFoyer Groupに入社。インポートブランドのショップに配属されました。
憧れだけではなく、現実の怖さも知ることに
初めて海外のファッションショーに参加したのは、入社3年目のとき。当社創業者のパリコレ出張に同行することになって、ずっと憧れていた舞台を目の前に、すごく舞い上がっていましたね。
その後は、店長になり一人でパリやミラノへ買い付けに行くようになるのですが、最初はパリコレのときと同じように舞い上がっていて、バイヤーの役目を理解できていませんでした。ただ、ほどなくして、ワクワクよりも店長・バイヤーとしての責任の重さを感じるようになりました。
もともとFoyer Groupは、洋服の廃棄をできるだけなくそうと考えている会社。私もセレクトした商品を残さず、いかに売り切るか、という側面を重要視していました。
店長1年目の頃は自分の直感でセレクトしていましたが、大事なのは「どういう考えで、この商品をセレクトしたのか」という裏付けとなる部分。その理由を明確にする大切さを学びました。
バイヤーとして大切にしている考え方
買い付けをする際に心がけているのは、お客様の顔を想像すること。「あの方にこれを着てほしい」「この方にこれをおすすめしたい」という具体的な意味を持って、商品をセレクトするようにしています。
一方で、新規のお客様にも面白いと感じていただけるお店づくりをしたいので、世の中の流行や売れ筋のラインナップも意識するようにしています。
ただ根本にあるのは、「自分」が着たいと思えるかどうか。そうでないものは、より慎重に判断しています。
セレクトの割合としては、一般的な流行や顧客様の好みにあったものが7割、あとはお店に並んでいたら面白いなと思えるアイテムが3割といったバランスを考えるようにしています。
「これは間違いない」というアイテムだけでなく、ときにはFoyer Groupしか扱わないものを買い付けることもあります。世界中を探してもFoyer Groupにしかないというプレミア感は、私自身もドキドキしますね。
マネージャーになり、意識が大きく変わった
店長・バイヤーの次のステップとして、インポートセレクトショップ部門の責任者になったのですが、当時は売上を上げることこそがマネージャーの使命と思い込んでいました。
売上ばかりに注力した指導だと、メンバーたちも疲弊してしまいます。管理職としてどうコーチングするべきか。毎日頭を悩ませていました。
当時、周囲の人からのアドバイスもあり、思いきって「売上は置いておこう」とマインドチェンジしてみたんです。すると徐々に売上というのは個人ではなく、人の協力やチームプレーで成果が出ていることが見えてきました。
指導のやり方が分からず、失敗を繰り返した自身の経験から、教育・研修の大切さも痛感しました。
後輩たちには、私のような思いをさせたくない。そんな切実な想いから社員たちで研修内容なども企画する「人材戦略チーム」を立ち上げました。同時に、ECやSNSでも若い力を借りながら、チームで会社づくりをしていきたいと思うようになりました。
未来のために、タネをまいていく
現在はCSRにも力を入れていて、2024年の能登半島地震のときはメンバーから「何か出来ることはないですか」という声もあがりました。以前からコラボイベントをさせていただいている画家・山口一郎さんのライブペインティングを開催し、売り上げの一部を寄付する活動を行いました。
さらに、服をどう循環させていくかという観点から、顧客様の商品を別の顧客様に引き継ぐお手伝いや、リメイクをして小物を作ったりする「Re-Project」も発足。
未来への取り組みに力を入れて、新しい時代にマッチした進化を続けています。
私はFoyer Groupで20年以上、「人」に支えられてやりたいことも実現してきました。だから、この先5年後、10年後も、今以上にいい会社であってほしい。後輩たちがイキイキと働けて、憧れの業界で成長が感じられるように。より良い環境づくりをしてバトンを渡すことが、今の私の目標になっています。